塾の授業は１回ごとに確実に新しい内容を学習します。「今日は復習だけにしよう」などという余裕はありません。スポーツならば一日休んでも、次の練習に参加できなくなるほどのダメージはないでしょうが、授業は１回欠席すると次の授業についていけなくなります。病欠など、やむをえない場合はなんとかサポートしますが、それも時間割の隙間を見つけてやっとのことで組む状態です。この数ヶ月、入試までは是非、通塾を第一に考えてください。高校で本格的に野球をしたいと思うのなら、この夏は好きな野球を犠牲にしても自分が高校を選べるような立場に立つべきです。

　私たちは中学校生活において、部活動は勉強をするのと同じくらい必要なことだと考えています。時間割も個々の部活動を考慮しながら組むようにしています。また、試合や合宿などで休まざるを得ない場合も、できる限り補習に呼んで授業に遅れないよう対応しています。　しかし、そうした対応にも限界があるのが実状です。現在、一生懸命にスポーツに打ち込むのは良いことなのですが、常に勉強とのバランスが取れるような配慮が必要です。雪谷高校で野球をやりたい、つばさでサッカーをやりたいと思っていても、スポーツ推薦枠に入るのは至難です。どうしても各高校のレベルに見合った学力が求められます。中学で最高のプレーをしていながら、高校ではプレーのできる環境がない、そんな事態に陥らないようにするために常に勉強とのバランスに気を配る必要があるのです。




　入試を控えているのに、子どもが勉強もせずに家でゴロゴロしながらテレビを見たりゲームをしたりしているのを目撃すると、ついつい「何やっているの！」と叱りたくもなります。実際、例年子どもたちが受験生のプレッシャーを本当に感じ始めるのはあとひと月、1月末の推薦入試が終わってからです。それまではまわりがどんなに口を酸っぱくして「あと○日しかないのだから！」と言っても本人はどこ吹く風、のように見うけられます。親の焦燥感は子どもには伝わらず、双方ともイライラして結局険悪な雰囲気に……というのはよく耳にする話です。

　思春期は自己管理がまだまだできないにも拘わらず、一方で自立したいという強い意志を持つアンバランスな時期です。家庭で自己管理ができていないことを責めても、子どもは自分の自立しようという意志を無視されたような気持ちになってしまい、感情的な反発につながりがちです。

　家庭ではできる限り「良いところ」を見つけて誉めてくださるといいと思います。例えば部活動で忙しい一方で塾にもきちんと休まずに通っていたら、「忙しいのに、よくがんばっているね」と言ってあげてください。少しでも点数が良くなったら（たとえ平均点を大きく下回っていたとしても）誉めてあげるのです。……とはいっても家でゴロゴロしているのを見ているのは何ともやりきれません。その時は叱らずにこっそり塾にご連絡ください。ゴロゴロしている時間、暇を持て余している時間を塾に来て自習するようにこちらで言います。本人と相談して決めた上で、自習の時間帯をご連絡します。そして家では自習に通うようになったことを誉めてあげてください。

　様々なモラル上の問題や人間関係の問題などと異なり、こと、勉強については叱って何かが良い方に向かうことは希であるように思います。とにかく誉めてあげることが本人の意欲を育む上で何よりなのです。
　ただ、予定だけは把握して気配りをお願いします。試験対策の時間割や講習の時間割など普段と違う通塾予定はカレンダーに記入するなどしてお子さんと共有するようお願いします。「寝坊しちゃった」「忘れていた」ということがないよう、お声掛けをしていただけると助かります。



　　
　都立入試は朝9時、国語から始まります。塾での講習も10時から授業があります。学校の始業時間より遅いにもかかわらず、寝坊して授業を休む、眠くて集中できない、頭が働かないなどというケースが見られます。人間の脳が活発に活動を始めるには、起床してから２〜3時間かかると言われています。都立入試に向けて、学校の授業を実のあるものにするためにも、今から遅くとも7時には起床する習慣をつけてください。